最近の外国外科
胸部手術後の合併症とストレプトマイシン—Belgium—,他
L. De Winter
pp.370-371
発行日 1950年7月20日
Published Date 1950/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200676
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ド・ウィンター氏は肺臟手術に於て乾酪樣変性を起している組織を挫滅する場合に,恐らくツベルクリン樣毒素が出されるものと考えている.從つてこの毒素が患者に吸収されると,活動性病巣の周囲に病巣周囲反應と云うべき〜その程度には大小の差はあるが〜重大な反應を生ずる.この反應は丁度ツベルクリンの大量を注射した後に起る病巣周囲反應と比較することが出来る.即ちこの反應は,Graucher氏が脾樣肺炎(Splenopneumonia)として最初に記述した相当成長した小兒に起る肺炎性病変に一致し,又最近更にEliasberg及びNeuland氏が唱えるepituberculosisに一致する.しかし,著者のド・ウィンター氏はこの病巣周囲反應に対して肝樣変化,或は脾樣変化と云う言葉を使用している.それは肺実質が強い充血によつて充実されるからである.この変性自身はそれ程惡性ではないが,しかし手術後の合併症としては肺浮腫或は心臟機能失調を起し得る.この充血による肺の病変及び病巣周囲の脾樣変化は胸廓成形術及び肺尖遊離術後には劇しく発生し得る.しかし気胸や癒着切離を合併した胸腔鏡檢査の場合には,それ程劇しく起ることはない.ストレプトマイシンの生体内作用はこの結核の病巣周囲充血を減少する働を持つているようである.即ちストレプトマイシンのみが病巣周囲充血を起すツベルクリン樣毒素に対して中和する生化学的作用を有するものと信ぜられる.(De Winter, L.: Acta tuberculosa Belgica 4018〜48 Feb. 1949)
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