最近の外國外科
—America—重症筋無力症治療に於ける胸腺剔出術,他
Eaton L. M.
,
Clagett T. O.
,
Good C. A.
,
McDonald J. R.
pp.274-276
発行日 1950年5月20日
Published Date 1950/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200652
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イートン氏及び協同研究者は胸腺と重症筋無力症との関係に関する文献を調べて,これを簡單に述べた後に,Mayo Clinicに於てこの問題に就て1941年から徹底的の研究を開始したと述べている. そして重症筋無力症患者の縦隔洞内に大なる腫瘍のレ線影像の存在する事実を直ちに知り得た. 又此の腫瘍のレ線照射療法後に病症が軽快することも知つた. この腫瘍は著者達の1人(Cla—gett)が1941年12月20日に剔出して,この腫瘍が胸腺から発生したものであることを組織学的に証明した.
しかし著者たちが直面した第一の問題として挙げられたことは,剖檢上に見られる胸腺腫の頻度と臨床上に発見される頻度との間に相違のあることである. Mayo Clinicで診られた重症筋無力症患者の大多数の者に対しては通常の後方から前方の方向に撮影するレ線胸部立体写眞の撮影が施された. この樣な撮影檢査を受けた筋無力症の患者が多数にあつたのに拘らず,著者たちは從来の記録の場合では胸腺腫瘍の診断が明瞭とされておつた症例は1名も発見出来なかつたと云つてる. そしてこの縦隔洞の前部に存する異常の陰影は時々発見されておつたし臨床家も胸腺腫瘍による影像であることを疑つたことも事実であつたが,しかし,レ線学者たちはそれを確定的に胸腺に起因するものであるとすることが出来なかつたのであつた.
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