Japanese
English
特集 木本誠二教授退官記念特集
Banti病の独立性について
Banti's disease as a distinct morbid entity
鈴木 忠彦
1
,
中作 修
1
,
和佐 武
1
,
島 一秀
1
,
布施 徳馬
1
Tadahiko SUZUKI
1
1大坂市立大学鈴木外科
pp.853-860
発行日 1968年6月10日
Published Date 1968/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204609
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
1894年,Bantiが先天性梅毒,慢性マラリヤや白血病などと区別される,肝硬変を伴う原因不明の脾腫の症例を記載し,特有な経過をとることを述べた.これがBanti病の名をもつて呼ばれ,以後慣用されてきたことは周知のごとくである.しかし,Banti病の独立性については,従来より,多くの議論の対象となり,疑義を抱くものも多く,とくに最近では,肝外性閉塞に由来するうつ血性脾腫となす米国学派の説が欧米においては支配的となつて,Banti病なる名称も抹殺しようとする傾向さえみられる.
一部にBanti病の存在を是認する学派はあるが,これとても,うつ血性脾腫をも認める条件下のものであつて.例えばDiGuglielmoは肝外性閉塞に由来するうつ血性脾腫を認めるが,これと臨床的にも,また病理学的にも区別されるBanti病が存在するとし,また,Cassanoなどは脾の濾胞あるいは髄索のFibroadenieを重視する立場から,Splenomegalia fibroadenica diBantiとSplenomegalie fibrozo-congestizieとを認める二元的見解を採用している.このような見解は,イタリー,フランスに多くみられる.
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.