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緒言並に文獻的考察
1895年Wilchelm Conrad Roentzen氏によりレントゲン線が發見せられてから醫學的方面への應用は日に進みレントゲン線の診斷學及び治療學への寄與は實に絶大なものがあります。レントゲン線の力により身体各部の詳細な構造及び機能を究めて殆んど餘す所がないと言う現状です。
氣管及び氣管枝の造影法も亦古くから研究せられ現今既に完璧と言つても過言ではありません。即氣管内に藥物を注入して診斷又は治療の嚆矢をなしたのは1856年New YorkのH. Greenで多くの肺結核患者に藥用油を注入して治療的効果を擧げています。續いて多くの諸先輩がメントールオレーフ油扁桃油オイカプトール油を注入し治療用に使用しています。1905年Jacksonは酸化蒼鉛を氣管内に注入して始めて氣管枝の造影を試みたのに端を發して氣管枝の造影法としてヨードフオルム其他の蒼鉛劑クロロフオルム,コロイド銀沃度溶液オレーフ油,ヨードフオルム浮游液等種々の藥物を用いて研究が行われています。尚蒼鉛粉末吹込み無水酸化トリウム,オレーフ油次炭酸蒼鉛浮游液注入等が行われていますが何れも氣管鏡により藥液を流入させる爲氣管鏡の操作を充分會得しなければ行えないと言う大きな缺點があるので一般に普及せられなかつた様であります。其後リピオドール,ヨヂピン,トリウムコロイド等が發賣せられる様になつてからは操作の簡便と相俟つて一般に多く用いられる様になりました。リピオドールが始めて我國に紹介せられたのは大正15年熊野御堂によるもので堀田,村上,佐藤等は氣管枝造影法にこれを應用して立派な成績を發表しています。國産モルヨドールが發賣せられ益々この方面の研究は盛んになり完成の域に達して參りました。
注入せられた沃度油の行方としては大部分が喀出せられ一部は肺胞内に入り肺胞から長期間内に吸收せられると言う読が一般に認められている様であります。
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