--------------------
頸動脈腺剔出による氣管枝喘息治療について
瀨尾 貞信
1
,
中山 恒明
1
1千葉醫科大學
pp.3-13
発行日 1946年9月10日
Published Date 1946/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200169
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言 昭和17年11月の第414囘東京外科集談會で著者らが「頸動脈腺の外科」と題してこの頸動脈腺の剔出手術が各種の疾病特に植物性神經失調に治療的效果のあることを發見し,かつ種々の動物實驗竝びに臨床的檢索の結果同手術が全く危險をともなはづ,かつ何等後遺症または副作用を惹起しないことを實證し得たのでこれを發表した。
當時著者らはこの頸動脈腺剔出が特發性脱疽患者の,あの激痛を瞬時に消失または輕減せしめ得る事實を確認し本腺が何等かの意味において疼痛と深い關係をもつてゐるといふことを指摘した,この知見はまだ文獻上發表をみないのである。當時はごく僅少の手術例しかもたなかつたので確實に治療的效果ありとは斷言できかねた。疾患すなはち眞性癲癇,噴門痙攣,レノー氏病,「エリトロメラルギー」,「カウザルギー」または狹心症その他の心臓疾患及び氣管枝喘息等に對してその後機會あるたびに本腺剔出手術を施行し,その經過を觀察しつつ諸種檢査を施行してゐた。しかるに氣管枝喘息に對して驚異的な效果のある事實を遠隔成績により確認できたばかりでなく,その症例も20例の多きに達したのでここにその概略を發表して大方のご追試と批判を希望する次第である。
Copyright © 1946, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.