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多發性肝臟嚢腫の1例
瀧澤 敏正
1
1岡山醫科大學津田外科教室
pp.495-500
発行日 1948年12月20日
Published Date 1948/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200400
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緒言
眞性非寄生蟲性肝臟嚢腫は從來稀有なものとせられ,剖檢或は開腹の際に偶然發見せられることが多く,外科的治療を講ぜられた臨牀例は比較的稀である。1900年初めてLeppmann氏が自己症例と共に外科約治療を加へた16例を蒐集發表して以來,諸家相ついで報告するに至つた。就中,1912年Sonntag氏は26例を,1923年Jones氏は61例を,1927年Melnikow氏は93例を蒐集報告し,1933年大塚氏によれば歐米例105例を算してゐる。本邦に於ては1910年(明治43年)三宅速氏が初めて外科的療法を施した症例を報告し爾來諸家の報告する所となつた。1942年(昭和17年)光田氏は自己症例と共に,非寄生蟲性肝臓嚢腫本邦例35例を蒐集し,外科的治療を加へたもの17例を算してゐる。
其後今日まで本症の報告を見ない。余も亦最近非寄生蟲性多發性肝臟嚢腫の1例を經驗したので茲に報告する。
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