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頸部椎間軟骨ヘルニアに就て
橫山 哲雄
1
,
伊藤 鐵夫
2
1京都大學醫學部整形外科學教室附属醫學專門部
2京都大學醫學部
pp.263-268
発行日 1948年7月20日
Published Date 1948/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200341
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緒言
特有なる坐骨神經痛を主徴候とする腰椎部椎間軟骨ヘルニアは,診斷並に手術法の進歩改良と共に最近の症例報告の増加は著しきものがある。我々の教室に於ては,黄色靱帶の單獨肥厚せるものを除き,本年9月末迄に138例の手術經驗例を有してゐる。然るに脊椎の他の部位に於ける椎間軟骨ヘルニア,特に頸椎部の夫れは では1925年Adsonの5例を最初とし,爾來1947年Kristoff等の報告した6例に至る迄,余等の調査し得た範圍内でも,70例以上に及んで居ると思はれるに反し,我國に於ては昭和10年野崎博士の報告した1例を最初として僅々4例に過ぎない。我々の教室では手術により確認した頸椎部椎間軟骨ヘルニアは現在迄に4例に達して居るので,此處に一應總括報告して置きたいと思ふ。
一般に椎間軟骨ヘルニアは,Adson以來Chondrom(Stookey),Ekchondrom(Adson),Myxochondroma(Veraguth)等,恰も眞性の腫瘍の如く呼ばれたり,或はSchmorlのKnorpelknötchen(Kortzeborn),叉はEkchondrose(Elsberg)等の如く軟骨組織の増殖性變化と考へられたが,Mixter,Barr,Peet,Love,Camp,Walsh,等によつて髄核,或は椎間軟骨の破裂,脱出,ヘルニアと考へられるに至つた。
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