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シュラッテル氏病及びペルテス氏病の穿孔療法
飯野 三郞
1,2
1東京大學醫學部
2東京遞信病院整形外科
pp.15-17
発行日 1948年1月20日
Published Date 1948/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200276
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私は先にシュラッテル氏病のキルシュナー鋼線による穿孔療法について發表し,その後方々で追試された結果も概ね良好のようであり,私自身も症例をかさねたので,本症と近親關係にあるペルテス氏病の穿孔療法と共に更にこゝで申しのべてみたい。
シュラッテル氏病は脛骨粗面(脛骨結節)骨起核の發育融合機轉の異常と考えられている。すなわち,正常には初め10-13歳において脛骨近端骨核の前縁から脛骨骨幹の前面を下方にのびはじめた嘴状突起が,これと獨立に脛骨粗面部に出現した1-2個の前骨端核と13〜15歳において相融合し,こゝに脛骨粗面の骨起核を形成,これが16歳以後において脛骨骨幹と融合する。この脛骨粗面骨核の化骨及び融合の障碍乃至異常がシュラッテル氏病の症状をひきおこすものと考へられるから,したがつて本症は10-16歳のいわゆる骨端核發現期及び融合期に發現し,脛骨粗面の膨隆,壓痛,四頭股筋の緊張痛を臨牀的の主症候とすることは周知のとおりである。その原因に至つては今日なお漠として本態を確實にし得ないが,外傷をも含めた外因性の機械的作用と,内因性の先天性素質の組合せによる骨端核の骨化融合の異常と云うところまでは概ね異存がない。
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