必見! 完全体腔内再建の極意・17
腹腔鏡下Roux en Y再建―合併症を防ぐ腹腔鏡下空腸空腸吻合と間膜閉鎖へのこだわり
稲嶺 進
1
,
大城 淳
1
,
高江洲 亨
1
,
上原 英且
1
Susumu INAMINE
1
1医療法人おもと会大浜第一病院外科
pp.986-994
発行日 2014年8月20日
Published Date 2014/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407105150
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■■はじめに
胃癌に対する胃全摘術,幽門側胃切除術,噴門側胃切除術に加え,病的肥満に対する胃バイパス術,そして胆管空腸吻合などの肝胆道系の手術においてもRoux en Y型の再建が広く行われている.腹腔鏡時代になってもこの再建方法は健在であるが,小腸は可動性が良好であることから空腸空腸吻合は小開腹下に体外で直視下に行うことも多いのではないかと思われる.しかし,小開腹下の手術は,難易度が体型の影響を受けやすい,過度な緊張がかかりやすい,腸管の方向の確認や全体像が把握しづらいなどの欠点を有する.一方,腹腔鏡下の再建ではこれらの欠点が軽減される代わりに,ポートの位置による縫合器の可動域の制限や腹腔鏡下の針糸による縫合など技術的ハードルが上昇する可能性がある.
われわれはHigaら1)の方法をモデルとした高度肥満に対する腹腔鏡下Roux en Y胃バイパス術を導入し2),その技術を胃癌手術に応用してきた3).その過程ですべての操作を腹腔鏡下に完遂する方法を定型化し,腹腔鏡下Roux en Y再建に関連した合併症を防ぐノウハウを蓄積した.その再建と関連する腸間膜の縫合閉鎖法などについてはこれまで論じられることは多くなかったが,Roux en Y再建は内ヘルニアや再建の不具合による通過障害など無視できない合併症をきたす可能性を有する(図1).本稿では完全腹腔鏡下Roux en Y再建において,われわれの考える安全で合併症の少ない空腸空腸吻合と腸間膜の閉鎖法を紹介したい.
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