保健活動—心に残るこの1例
まだらボケを克服したTさん
吉田 綾子
1
1神奈川県茅ケ崎保健所
pp.354
発行日 1993年5月15日
Published Date 1993/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900808
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保健婦として20年が過ぎ,心に残る事例は数多くあるが,まだらボケを克服したTさんと,彼女を支えたSさん一家が印象深い.
民生委員に相談されてSさんに会ったのは,もう10年も前になる.初対面のSさんは,女性に珍しい営業畑で,仕事をテキパキとこなす30代後半のキャリアウーマンであった.75歳になる義母のTさんにボケ症状が目立ち,老人ホームか病院を紹介してほしいという相談であった.聞けば,Sさんの夫は,10年前業務中に事故死.生後15日と2歳の娘,Sさん,65歳のTさんと女ばかり4人が残された.それまで専業主婦のSさんが働きに出て,Tさんが家事と育児をと,役割分担してがんばってきたとのことである.が,ここへ来てTさんにボケ症状が出て,このままでは家庭も仕事も崩壊していくのではないか,と考え相談したという訳であった.
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