胃癌手術のロジック―発生・解剖・そして郭清・5
膵の形成と固定
篠原 尚
1
,
春田 周宇介
1
1虎の門病院消化器外科
pp.314-323
発行日 2013年3月20日
Published Date 2013/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104499
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33 膵発生の遺伝子機構については図15(第2回連載)で述べたが,今回はその複雑な形成過程の臨床的意義と膵周囲の剝離可能層について考察する.胃癌手術において膵は,リンパ郭清に制約をもたらす重要な臓器だからである.
膵をプラモデルの設計図風に組み立ててみよう.最初に涙滴形をした小振りな腹側膵(VP:ventral pancreas,褐色)を,その鉤状突起がSMVの枕になるよう後ろからくっつける.導管であるWirsung管は腹側膵内を貫通する胆管(膵内胆管)と合流して大乳頭となり,十二指腸に注ぐ(左図b).次に,流線型に細長く伸びた背側膵(DP:dorsal pancreas,紫色)を前からくっつける.こちらの導管であるSantorini管は副乳頭となって十二指腸に注ぐ(左図c).この後,お互いの導管どうしが膵内でつながり,Santorini管からWirsung管に至るルートが本流の主膵管(MPD:main pancreatic duct)となる(左図d).Santorini管の下流部分は支流の副膵管として残る.
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