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“肝癌診療ハンドブック―ケースで学ぶ集学的治療のコツとセンス”という,肝癌治療の最新情報が載せられたユニークなハンドブックが出版された.本書は虎の門病院肝臓センターの池田健次氏が編集責任者であり,虎の門病院肝臓センターの肝臓病専門医により執筆されている.本邦の肝癌発症はそのほとんどを占めるC型肝炎が背景の肝癌であり,肝炎および肝硬変患者さんのフォローアップにおける肝癌発症の診断およびその治療というところにポイントを置いたことに本書の特徴が良く表れている.これまで虎の門病院の池田健次先生を中心とした肝臓チームは,肝炎および肝硬変さらには肝癌への移行に関して極めて多くの優れた業績を残しており,そのチームで実際行われてきた肝癌診断および治療の経験症例数は膨大なものである.したがって,彼らによってこれまで培われてきた肝癌診療における高い臨床能力レベルが本書において存分に発揮されたものとなっている.
特に,本書の構成において特徴として挙げられる点が2つある.1つが,実際のケースを提示していくことにより,実地臨床においてどのような診療手順で肝癌の診断および治療を各症例毎に進めているのかを,具体的に解りやすく示してくれている点である.このケースカンファレンス形式での提示は,特に若い読者には肝癌診療にあたっての考え方を学ぶ最良の教材となってくるであろう.読者にとっては,実際に虎の門病院肝臓センターで臨床研修をするのと同じ臨場感で学ぶことが可能かもしれない.さらにもう1つの特徴が,「Take home message」として最新の膨大な情報の中,著者らが特に強調しておきたい実地診療上のコツ,ポイントを解りやすく記載している点である.この2つの特徴により本書が従来のものと異なり“読みやすさ理解しやすさ”で優れている点と思われる.
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