昨日の患者
忠犬ハチ公
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.1526
発行日 2012年12月20日
Published Date 2012/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104387
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JR渋谷駅前の秋田犬の像は,飼い主が亡くなってからも必ず定刻になると渋谷駅で主人を出迎えた,忠犬ハチ公を顕彰するために設置された.そのハチ公のように奥様に誠心誠意を尽くす,微笑ましい夫を紹介する.
70歳代前半のTさんが,腹痛と嘔吐を主訴に来院した.精査を行うとS状結腸癌であり,腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した.Tさんの夫は入院時から頻繁に病室に顔を出し,検査に立ち会ったり手術の準備を手伝ったりした.また,手術時には終始,待合室に控え,回復室でも奥さんに付き添った.さらに術後も早朝から晩まで甲斐甲斐しく奥さんの世話を行い,病状が落ち着いても朝昼晩と1日に3回は必ず顔を出した.男性にしてはあまりにも熱心なので,病棟中の話題の人になった.
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