Expertに学ぶ画像診断・16
3D画像ナビゲーションと臓器立体モデルによる手術支援・シミュレーション
杉本 真樹
1
,
東 健
1
Maki SUGIMOTO
1
1神戸大学大学院医学研究科消化器内科
pp.1022-1030
発行日 2012年8月20日
Published Date 2012/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104180
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はじめに
近年の医用画像診断は,画像解析のデジタル化が大きく進歩したことで,診断目的から治療支援へと広く活用範囲が拡大している.特に外科手術においては「手術ナビゲーション」や「ナビゲーション手術」などの用語が手術とその誘導,補助などの総括として広く一般化し,医用画像を参照した術前診断や手術計画の立案などに応用されている.
2008年の診療報酬改定において,画像等手術支援加算(いわゆるナビゲーション加算)として「ナビゲーションによるもの」と「実物大臓器立体モデルによるもの」が設定され,ともに2000点の算定ができるようになった.「ナビゲーションによるもの」とは,手術前または手術中に得た画像を3次元に構築し,手術の過程において手術を補助する目的で用いることをいう.「実物大臓器立体モデルによるもの」は,手術前に得た画像等によって作成された実物大臓器立体モデルを,手術を補助する目的で用いることをいう.主に骨などを対象とした脳外科や整形外科,耳鼻咽喉科など一部の術式で適応され,2012年には消化器外科領域でも一部の術式で画像ナビゲーション加算の設定がされ,徐々にほかの術式でも応用されつつある.画像等手術支援加算は当該技術の補助によって手術が行われた場合に算定するものであり,当該技術が用いられた場合であっても,手術が行われなかった場合は算定できない(平成24年 保医発0305第1号).
本稿では,医用画像を用いた支援手術の現状と展望について,筆者らの研究成果と合わせて述べる.
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