昨日の患者
肺癌でよかったじゃない
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.976
発行日 2011年7月20日
Published Date 2011/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103651
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生きとし生けるもの,必ず死を迎える.しかしながら,いつ,何で亡くなるかは神のみぞ知ることである.職業柄,多くの死に立ち会ってきたが,近頃は死因として癌で亡くなるのもよいのではないかと思うようになった.
K先生は,私の小学校時代の恩師である.何かと理由をつけては,わざわざ遠隔地にある私が勤める病院を訪ねてくれる.既往歴に早期膀胱癌や皮膚癌があるため,健康診断を兼ねて胸部から骨盤までのCT検査を行った.すると,左肺に径2cm大の腫瘤を認めた.肺結核の既往もあったが,肺癌が疑われたため呼吸器内科を紹介した.気管支鏡検査の結果は肺癌であった.しかし,88歳と高齢でもあったため手術はしないで,他施設で放射線療法と癌化学療法を行うことになった.
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