書評
中村恭一(著)「大腸癌の構造(第2版)」
高木 篤
1
1協立総合病院消化器内科
pp.457
発行日 2011年4月20日
Published Date 2011/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103502
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本書はいまだに世界的に信じられている「大腸癌の多くは腺腫から発生する」というMorsonの“腺腫-癌連続学説(adenoma-carcinoma sequence)”を徹底的に論破し,「大腸癌の大部分は正常粘膜から発生する」というde novo学説を体系的に対置した本である.
本書は複数の執筆者による見解をオムニバス的に集めただけの安易な本ではない.一人の著者の極限の思索によって書き下ろされた渾身の書であり,骨太で一貫性のある論理構造を持つ科学書である.癌・腺腫・非腫瘍を画像的に客観的に診断する判別式を完備し,腫瘍発生の基本概念,診断基準,組織発生,臨床病理を整合性をもって見事に解説している.
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