昨日の患者
入院は湯治気分
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.1127
発行日 2010年8月20日
Published Date 2010/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103154
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病を得て入院となると,多くの場合は気が滅入るものである.さらに自宅と比べると病室は狭く,他人との共同生活を強いられる.したがって早期の退院を希望するのが常であるが,入院を極楽と感じる患者さんも稀ながら存在する.
腹痛を主訴として,80歳代のMさんがかかりつけの診療所から紹介されてきた.右上腹部を押すと著明な圧痛を認めた.白血球数やCRPの増加を認め,超音波検査などの画像検査では典型的な急性胆囊炎であったので入院を勧めた.しかし,Mさんはどうしても入院には同意しなかった.理由を聞くと,「高齢の夫が心配で,一人にはできません」とのことであった.そこで抗生剤と鎮痛剤を処方した.
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