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当院は昭和60年に川村明夫現会長が人工臓器や移植などの高度医療を一般の医療にという理念のもとに開設した.病院の規模は231床で,ICUの8床を除いて全室が無料の個室(バス・トイレ付き)である.外科の病床は約60床で,外科医は会長を含めて12名である.平成20年の手術件数は1,219件(全身麻酔症例595件)で,扱う症例は腹部一般外科を中心に,自然気胸や肺癌などの胸部外科,甲状腺や副甲状腺などの内分泌外科,腎不全透析など非常にバラエティに富んでいる.近年,他院からの依頼で特に増加しているのは透析バスキュラーアクセス関連の手術で,昨年は470件に達した.また,堀江卓部長が中心となって行っている四肢末梢動脈閉塞症例に対する細胞治療は本年の5月末で166例に及び,治療症例数は全国一多い.
外科の1日は担当医の病室回診で始まる.8時半に外科と麻酔科の全員が医局に集まって朝のカンファレンス(朝カン)が行われる.週番外科医長の司会で検討症例が次々と紹介されるが,ディスカッションが白熱することもしばしばある.その間,誰かのPHSに他院からの患者紹介が入ることも多々ある.そうこうしているうちに消化器科や内科の医師がやって来て,症例の依頼が割り込む.3割くらいは外科がすぐに引き取らなければならない症例である.朝カンもホームストレッチに入ると,ここからが外科医長の腕の見せ所.臨時のバスキュラーアクセストラブルがあると血管造影や術者の手当てが必要になる.また,他科からの依頼患者が緊急手術にでもなると,さあ大変.手術予定表を囲んで麻酔科と折衝し,術者は?助っ人は?手術の順番は?などを早急に決めなくてはならない.何とかこれが一段落すると,それぞれ外来,病棟やICUの回診,透析患者回診へと散っていく.しかし,外科医長のPHSは休む暇なく午前中も鳴り続ける.多くの手術は午後に行われるが,臨時手術の頻度も高い.この毎日が続くと外科医長は1週間でくたびれ果てるので,4名で1週間交代としている.
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