特集 院内感染対策は万全か
私たちの病院での感染対策とその費用
2 腎移植を行う民間病院—札幌北楡病院では
川村 明夫
1
,
目黒 順一
2
,
久木田 和丘
2
1札幌北楡病院
2札幌北楡病院人工臓器・移殖研究所
pp.528-531
発行日 1994年6月1日
Published Date 1994/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901249
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はじめに
臨床医学の急速な進歩に伴い,様々な疾患の治療が可能になると共に,各種治療の結果として発生する新たな病態が,これまで以上に議論されるようになった.その最大のものの1つに感染症の問題がある.感染症は,古くから人類にとって最大の疾患であった.近代の医学は,まさに感染症との戦いであったとも言えなくはない.今日多くの抗菌剤,抗生物質の開発により,人類は感染症に対抗する強力な武器を手中にしたかに見えるが,そのことにより,感染症の問題は一層複雑になった観もある.MRSA1)を初めとする耐性菌の出現,compromised host(易感染者)の増加に伴う日和見感染症の増加,病院という狭い空間に,多くの患者と医療従事者が濃厚に接触しつつ生活するために発生する院内感染2)の問題等がそれである.
これらの問題に対して,各種の感染予防対策が論じられているが,施設問での規模や,患者構成の違い等により,画一的な基準は定めがたく,更にはコストと効率の面からも,実際の運用には問題点も少なくない.
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