書評
中野 浩(著)「Ⅱcがわかる80例―早期胃癌診断のエッセンス」
多田 正大
1
1多田消化器クリニック
pp.402
発行日 2009年3月20日
Published Date 2009/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102515
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消化管画像診断学を極めるための近道はない.多くの典型症例を経験・見聞して,頭の中のフィルムライブラリーに記憶しておくことからスタートしなければならない.一朝一夕に完成するものではなく,多くの時間と労力を要する.そのうえで見せられた画像が自分の経験例とどこが違うのか,どの点に類似点があるのかを考え,診断過程をたどる応用力を養うことが大切である.遠回りしてでもコツコツ,地道に症例を集積して,自らの診断力を磨くことがすべてである.その意味では『胃と腸』誌の「今月の症例」コーナーを熟読することで,素晴らしい画像診断学を身につけることができる.これは提示されるX線・内視鏡写真が卓越した水準にあるからであり,『胃と腸』誌が読者から支持されているゆえんもここにあると思う.
胃癌の診断においても多くの症例を経験することが画像診断のスタートである.なかでもⅡc型早期胃癌の画像を理解することは診断学の基本であり,そこから病変範囲や深達度診断の読影,類似病変との鑑別などに役立てることができる.X線像と内視鏡所見,マクロと組織像を丹念に対比することから胃癌診断学が展開される.地道で苦労が多い作業であるが,これが王道であると私は信じている.
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