外科学温故知新・31
心臓外科(一般)―体外循環事始め―多くの先達,John Gibbon,John KirklinそしてWalton Lillehei
大北 裕
1
Yutaka OKITA
1
1神戸大学大学院医学系研究科心臓血管外科
pp.81-89
発行日 2008年1月20日
Published Date 2008/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102008
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1 心臓外科,胎動
紀元前350年,Aritotelは「身体の器官のうちで心臓だけは傷をつけてはいけない」と思索した.以来,1883年かのTheodore Billorth(図1)が“Let no man who hopes to retain the respect of his medical brethren dare to operate on the human heart”と警告したことに代表されるように,19世紀末まで心臓手術は非現実的であった.しかし,このウィーンの大外科医が亡くなるとき(1894年)に呼応するかのように,1896年にRhen,1902年にHillらによる心臓刺傷の救命例が相次いで報告された.また,1902年にはBrauerによって収縮性心膜炎に対する心膜剝離術の成功が報告され,これ以後,2000年来,外科手術において聖域・タブー視されていた心臓外科手術への挑戦が堰を切ったように溢れ出た.
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