特集 癌診療に役立つ最新データ2007-2008
Ⅴ.食道癌
食道癌の治療に関する最新のデータ
竹内 裕也
1
,
才川 義朗
1
,
須田 康一
1
,
北川 雄光
1
Hiroya TAKEUCHI
1
1慶應義塾大学医学部外科
pp.153-161
発行日 2007年10月22日
Published Date 2007/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101897
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要旨:早期食道癌発見率の上昇によって内視鏡的粘膜切除術の適応症例は増加している.リンパ節転移のないT1aでは深達度m2までが適応となるが,耐術能不良例などを中心にm3~sm1まで適応を拡大する試みもなされている.従来,cT1bN0例では根治手術が選択されてきたが,化学放射線療法による高いCR率が明らかとなり,今後,手術療法との比較試験の結果が注目される.T4ないしM1 Lym症例を対象に始められた化学放射線療法は,従来は外科治療が中心であったT2,T3食道癌にも適応が拡大しており,その是非に関しても臨床試験による検証が必要となろう.また今後,化学放射線療法後の腫瘍遺残,再発例に対するsalvage治療の適応決定とその臨床的意義の評価,根治性と安全性を重視したsalvage手術手技の確立などが求められる.無作為化比較試験の結果,術前化学療群の術後生存率は術後化学療群よりも有意に良好であることが明らかとなった.この結果から,今後わが国では手術療法に際し,術前化学療法が標準治療として組み込まれることが予想される.
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