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特集 肛門疾患診断・治療のコツと実際
直腸肛門周囲膿瘍の診断・治療のコツと実際
Diagnosis and treatment for anorectal abscess
松田 直樹
1
,
松尾 恵五
2
Naoki MATSUDA
1
1アルト新橋胃腸肛門クリニック
2東葛辻仲病院
キーワード:
直腸肛門周囲膿瘍
,
痔瘻
,
肛門伸展張力計
Keyword:
直腸肛門周囲膿瘍
,
痔瘻
,
肛門伸展張力計
pp.1341-1346
発行日 2007年10月20日
Published Date 2007/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101847
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要旨:直腸肛門周囲膿瘍は,痛みと腫れという急性炎症症状で始まるのが特徴である.発症してから3~4日後で来院する割合は44~80%であり,痛みは90%に,腫れの症状は50%にみられる.肛門内指診が基本で膿瘍の位置,大きさを知る.浅い膿瘍はわかりやすいが,深部のものは診断が難しい.そのため,肛門内超音波検査,CT,MRIが必要となる.当院における患者の年齢は40歳前後が多いが,生後1年未満もこの5年間で70名来院した.膿瘍の位置は,成人は70%が後方だが,乳児では89%が左右側方である.治療の原則は切開排膿だが,再発または痔瘻化する率が32~48%ある.そのため,膿瘍期に一期的に括約筋切開を含めた根治手術をすべきとの意見もある.しかし,括約筋機能保護の点からみても避けるべきであると考える.文献的にも,のちに痔瘻化したときは二期的に根治手術を行うとの考えが多数を占める.また,本稿では肛門内圧検査や肛門伸展張力検査を取り入れて肛門の狭さと肛門腺感染の関係を示唆した.
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