ひとやすみ・20
手術と職人技
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.734
発行日 2007年5月20日
Published Date 2007/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101771
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- 文献概要
和菓子職人は,握った感覚で皮や餡の分量を瞬時に決め,いちいち秤を用いて測定したりはしない.しかしながら,造られた和菓子の大きさは一定であり,個々の重量もほぼ同じである.また,某牛丼屋のマニュアルでは,丼に盛り付ける牛肉の量は85gが適量であり,90gを超えても80g以下でもいけない.杓子を回すことによって,肉の量を一定に保つ技が要求される.どの世界でも達人と称される職人は,永年にわたる努力によってのみ会得できる巧みな技を持っているものである.
ところで,外科医の仕事は何であろうか.日本では単に手術するだけではなく,術前検査,周術期の全身管理,術後の癌化学寮法など,種々の仕事が外科医には要求されている.しかし,外科医本来の仕事はやはり手術である.すなわち,病巣を切除してquality of lifeの高い生活を過ごせるように努めることが最大の職務である.さらに,個々の患者さんにエビデンスに基づいた最適な手術を的確に,そして素早く行う必要がある.そのためにはつねに最新の知識を取り入れるとともに,技術の習熟に努める必要がある.
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