コーヒーブレイク
一流の職人
T. S.
pp.346
発行日 1979年4月1日
Published Date 1979/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201828
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我が家は大食漢が多いせいか,子供をはじめよく口内炎を起こす.その治療薬としてピオクタニン(紫色の色素)を,いつでも100ml入りのびんに入れて準備している.ある日,びんが倒れ,家内の晴れ着にかなり大量のピオクタニンが付いた.もう着物としては役立たないと思っていたところ,知人の紹介で,ある染み抜き家さんを訪ねてみることになった.
とても小さな古ぼけた典型的な京都の古い家で,外からは何をしているか分からないような家であった,"こんにちは"と数回となえて,ようやく出て来られたのは,人の良さそうなおじいさんであった,ピオクタニンと言っても分からないので,紫色のインクのような物が付いたと言って差し出すと,とにかくやってみるから1か月間預からしてくれということであった.
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