コーヒーブレイク
職人から技師へ
A 0
pp.1085
発行日 1988年8月1日
Published Date 1988/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204681
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検査機器が発達して、ほとんどの分析が自動分析機器でできるようになってきた。昔は分析過程の一つ一つを注意深く手で行っていたので、 一人前の技師になるには職人的な修練が必要であった。しかし、その半面では、分析の各過程を目で確かめながら作業を進めることができたので、異常反応などの発見の楽しみもあった。しかし現在では、技師の仕事は自動分析装置のボタンを押す操作となり、作業自体からは名人芸や職人的な喜びが失われてしまった。機器の操作は、ベテランでも新人でも同じである。機器操作法の習得はベテランより新人のほうが早いかもしれない。このような状況になると、検査技師は機械に使われているような感覚となり、仕事に対する興味や使命感も失われがちとなる。
私の周囲にいる技師の一部にもこのような雰囲気が感じられる。しかしこれは現在の検査室の状況、将来の検査室の方向についてこれらの人たちは間違った認識に立っているものであると私は考えている。
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