特別寄稿
社会鋪装国日本の医師―その社会的責任
本田 宏
1
Honda Hiroshi
1
1済生会栗橋病院外科
pp.1631-1639
発行日 2003年12月20日
Published Date 2003/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101629
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「クリプトクラシー国家日本」
「日本はデモクラシーを装っているが,その実態は国家が国民から収奪して,一部の人間が私腹を肥やすクリプトクラシー政治体制だ」.ニューヨーク市立大学大学院教授の霍見芳浩氏はブッシュ政権が誕生した頃,米国政府内部でこう囁かれていたと警告した1).「クリプトクラシー?」は「収奪,盗賊」という意味だそうだ.この言葉,私は初耳だったが,果たして本誌の読者で聞いたことがある方はどれだけいるだろうか.
年ごとに厳しくなる医療現場に疑問をもち,5年前に発足した「医療制度研究会」で日本の医療制度やそれを取り巻く政治や経済などについて勉強を続けてきた.その結果,日本の医療環境の荒廃とこの「クリプトクラシー」が見事にシンクロしていることが浮かび上がってきた.本論では日本の医療制度が陥っている危機的状況とその病理を概観し,私達医療関係者がこれからどう行動すべきか私見を述べさせていただきたい.
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