特集 クリニカルパスによる外科医療の進歩
第Ⅱ部:クリニカルパスをめぐる諸問題
クリニカルパスによるセイフティマネジメント
大山 繁和
1
,
山口 俊晴
1
Oyama Shigekazu
1
1癌研究会附属病院消化器外科
pp.254-258
発行日 2003年10月22日
Published Date 2003/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101588
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はじめに
1999年米国医療アカデミー(IOM)から医療事故の状況が報告され,米国国内で年間4.8~9.2万人もの患者が医療事故で死亡しているという衝撃的なレポートがなされた1)(表1).わが国でも著名な大学病院での医療事故に端を発し,医療の安全対策が急務となってきた.
当院でも1999年12月に抗癌剤の大量投与による医療事故が起きた.以来,医療安全管理委員会,QC委員会,インシデント・アクシデント報告など各種の安全管理の整備が進められた.
クリニカルパス(以下,パス)は1999年11月に委員会が設置され,2000年から導入された.以来,バリアンス・アウトカム調査を3回行い,現在は改訂第5版を使用している.第5版では幽門側胃切除術,胃全摘,結腸切除術,年間およそ500例の患者が全く同じパス,同一の周術期管理がなされるようになり,より病棟の看護業務が簡略化するよう配慮されている.
本稿ではパスの導入から3回の改訂を経て現在に至るまでの経緯を述べることで,パスの導入が実質的にセーフティマネジメントに貢献していることを報告したい.
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