特集 イラストレイテッド外科標準術式
Ⅱ.胃の手術
腹腔枝温存胃切除術
三輪 晃一
1
Koichi MIWA
1
1富山労災病院
pp.71-77
発行日 2006年10月22日
Published Date 2006/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101000
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はじめに
胃癌手術後の困難症には,胃切除によるもののほかにリンパ節郭清に伴う自律神経系,特に迷走神経の損傷によって生じるものがある.迷走神経切離による障害は消化性潰瘍の迷切術の経験で明らかにされており1,2),胃癌手術でも根治性が満たされる場合は自律神経系が温存されるべきである.
迷走神経の肝枝,腹腔枝温存の利点は胃切除後胆石の予防,下痢の予防,術後の順調な体重回復,インスリン分泌障害の予防である.そのほか血糖などのcircadian rhythm,胃,十二指腸,胆道,膵臓などの臓器相関にも関与すると考えられる3).
本稿では胃周囲の自律神経の解剖と機能,腹腔枝温存のポイントを記載する.
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