特集 イラストレイテッド外科標準術式
Ⅳ.肝・胆・膵の手術
全胃温存,腹腔動脈合併切除を伴う膵体尾部切除術
富川 盛啓
1
,
菱沼 正一
1
,
尾澤 巖
1
,
尾形 佳郎
1
Moriaki TOMIKAWA
1
1栃木県立がんセンター外科
pp.295-302
発行日 2006年10月22日
Published Date 2006/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101026
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手術適応
周囲血管に浸潤する膵癌に対する動脈合併切除例の予後は不良であるため,その適応は厳格に検討する必要がある.筆者らは腹腔動脈周囲への浸潤を認める膵癌症例のうち後腹膜浸潤が軽度で,第1群リンパ節以遠に転移を認めず,膵頭部を温存できるものをこの術式の適応としている.この術式では術後の肝および胃への血行動態の問題から上腸間膜動脈から膵頭部アーケード,胃十二指腸動脈が浸潤を受けずに温存できることが必須条件である1)(図1).
手技
1.開腹,腹腔内の検索
正中切開にて開腹する.吊り上げ鉤,開創器を用いて術野を展開し,さらにオクトパス鉤を右頭側からかけて,良好な視野を確保する(図2).腹腔内を観察し,肝転移や腹膜播種の有無を検索する.
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