特集 GIST―診断と治療の最前線
特集にあたって
北島 政樹
1
Masaki KITAJIMA
1
1慶應義塾大学医学部外科
pp.14-15
発行日 2006年1月20日
Published Date 2006/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100322
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消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor:以下,GIST)が,それまでの平滑筋腫瘍と一線を画して分類されるようになってから,数年が経過した1~3).消化管に発生する粘膜下腫瘍のうち,GISTを含む間葉系腫瘍は形態的に肉腫に分類されるが,上皮性腫瘍である癌と比較すると,過去においてはあまり関心が寄せられてこなかった.罹患率が癌の約1/100という症例数の少なさが大いに影響しているであろう.しかしながら,1980年後半から進歩した分子生物学的研究手法は,それより少し前に脚光を浴びるようになった免疫組織学的手法と相俟って,消化管間葉系腫瘍の基礎研究を大いに推進した.GISTという術語は医学生のtext bookにも解説が載るようになり,一般診療においても定着しつつある.
治療法はどう変わったであろうか.GISTは切除が第一選択であり,初回治療としての外科手術に関しては,これまでの治療方針とあまり変わっていない.癌のような定型的リンパ節郭清が必要ないこともこれまでと同様である,一方,手術不能例や再発転移例に対する治療は,メシル酸イマチニブ(以下,イマチニブ)の登場によって,大きな変遷を遂げた.それまで抗癌剤や放射線にきわめて感受性が低かった消化管肉腫に対し,限られたKIT陽性腫瘍に対してではあるが,イマチニブが80%の奏効率を示したことは驚異的であり,大いに歓迎すべきことである4).わが国では2003年7月からイマチニブが保険適用となり,今日におけるGISTの治療法は手術とイマチニブの2本立てになっている.
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