Japanese
English
特集 再発食道癌を考える
食道癌に対するEMR後の再発
Recurrence of esophageal cancer after endoscopic mucosal resection
幕内 博康
1
,
島田 英雄
1
,
千野 修
1
,
西 隆之
1
,
釼持 孝弘
1
,
山本 壮一郎
1
Hiroyasu MAKUUCHI
1
1東海大学医学部外科
キーワード:
EMR
,
食道癌
,
局所再発
,
異時性多発
,
リンパ節再発
Keyword:
EMR
,
食道癌
,
局所再発
,
異時性多発
,
リンパ節再発
pp.169-175
発行日 2005年2月20日
Published Date 2005/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100031
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はじめに
食道癌の治療成績は頸胸腹部3領域リンパ節郭清術を伴う外科的根治術と,内視鏡的粘膜切除術の普及により著しく改善した.
外科的根治術の5年生存率は筆者らの施設で62.5%となったが,逆に考えると37.5%の症例が再発しているわけである.リンパ節転移を認めなかった表在癌(T1b,pN0)症例でも再発例があり,術前・術後の化学放射線療法を併用しても再発を防ぐことができない.最近,術前化学放射線療法を積極的に行う動きも出ているが,リンパ節郭清の精度を高める努力を怠れば意味がないことは歴史的な経験から学ばなければならない.また,外科的根治術はその技術の習熟が容易ではなく,medical oncologistに化学・放射線療法でも同等の成績を挙げうると言われる素地もある.一度再発すると再手術可能な症例は少なく,いかに化学・放射線療法を行おうと容易に救命しえない.
内視鏡的粘膜切除術(EMR)の普及はとくに外科的根治術の侵襲の大きい食道癌の領域で大きな福音となった.診断能の向上も相まって著しい速度で普及してくるとともに,その適応も腫瘍経3cm未満で深達度は粘膜固有層までという適応基準も5cm以上,m3・sm1へと拡大されつつある.さらにはsm2・sm3へと拡大させて化学・放射線療法を加える動きもある.
EMR症例の蓄積と15年の経過観察により,EMR後の再発も明らかとなってきた.EMRを施行した局所の遺残再発の地,異時性多発,リンパ節再発,遠隔臓器再発,さらには予後について明らかにし,その問題点を検討して,適応の限界など今後の治療方針を明らかにしたい.
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