Japanese
English
特集 脳梗塞に対する血栓溶解療法の進歩
4.血栓溶解療法における画像診断(SPECT/PET,CT/MRI)の役割
Role of Neuroimaging (SPECT/PET, CT/MRI) in Thrombolytic Therapy
中川原 譲二
1
,
瓢子 敏夫
1
,
片岡 丈人
1
,
早瀬 一幸
1
,
粕谷 潤二
1
,
上山 憲司
1
Jyoji Nakagawara
1
,
Toshio Hyogo
1
,
Taketo Kataoka
1
,
Kazuyuki Hayase
1
,
Junji Kasuya
1
,
Kenji Kamiyama
1
1中村記念病院脳神経外科・脳卒中診療部
1Department of Neurosurgery and Stroke Center, Nakamura Memorial Hospital
キーワード:
thrombolytic therapy
,
SPECT(single photon emission computed tomography)
,
PET(positron emission tomography)
,
CT(computed tomography)
,
MRI(magnetic resonance imaging)
Keyword:
thrombolytic therapy
,
SPECT(single photon emission computed tomography)
,
PET(positron emission tomography)
,
CT(computed tomography)
,
MRI(magnetic resonance imaging)
pp.873-882
発行日 2000年10月1日
Published Date 2000/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901663
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
急性期脳梗塞に対する血栓溶解療法における画像診断の役割は,第1に治療適応の判定,第2に治療効果の判定にあるということができる。第1の役割としての治療適応の判定としては,虚血に陥った脳組織が血行再開によって救済し得るか否かを判定することである。一般に,急性期の脳虚血域に関する画像診断では,形態的画像診断法であるCT/MRIによって脳虚血域内における脳梗塞の有無とその範囲が同定され,同時に機能的画像診断法であるSPECT/PETなどによって脳虚血域内における虚血の重症度が評価される。これらは,いずれも脳組織のvlability(生存性)とfunctionalreversibility(機能的可逆性)の判定に欠かせない。第2の役割としての治療効果の判定とは,血行再建により脳組織が救済されたかどうかを判定することである。脳組織のviabilityが保たれた組織における血流再開は脳機能の回復をもたらすが,同じ血流再開でも,脳組織に不可逆性の変化が生じた後では,ぜいたく灌流(luxury perfusion9))や脳浮腫,出血性脳梗塞などが生じ脳機能の回復は得られない。また,最近では,血流再開後に不完全脳梗塞3,12)が生ずる場合があることも報告されている。すなわち,治療効果を判定する上でも形態的および機能的画像診断の役割は重要と考えられる。
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.