Japanese
English
脳・脊髄のMRI画像アトラス
皮質形成異常を呈した先天性cytomegalovirus感染症
Congenital Cytomegalovirus Infection with Cortical Dysplasia
佐々木 征行
1
,
高嶋 幸男
2
1国立精神・神経センター武蔵病院小児神経科
2国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第2部
pp.856-857
発行日 1998年9月1日
Published Date 1998/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901340
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症例2歳,女児
母妊娠5カ月時に感冒症状と発熱あり。満期自然分娩で周産期に異常なし。出生時,頭囲29.5cmと小頭を指摘されていた。5カ月,固視や,追視をしない,頸定なし,両手を握ってばかりいることを主訴に某院を受診した。頭部CTスキャンで大脳白質全体の低吸収と側脳室周囲および小脳髄質に石灰化を認め,先天性感染症が疑われた。この時点でサイトメガロウイルス(CMV)抗体がEIAでIgG 128.0(正常2.0未満),IgM陰性であり感染の既往が確認された。母の妊娠時の感染症の既往と,出生時よりの小頭症から先天性CMV感染症と診断された。1歳半頃から固視,追視があることが明らかとなった。全身性強直発作のコントロールのため,1歳8カ月時,当科を受診した。頭囲40cmと小頭を認めた。追視あり,あやし笑いあり。音に対して明らかな反応はなかった。水分やペースト状の食事摂取は可能であった。痙性四肢麻痺で頸定なく常時臥床していた。聴性脳幹反応は平坦であった。2歳時にMRIを施行した。
MRI所見は,T1強調画像では,側脳室,第3脳室ともに拡大しており,皮質はリボン状で浅い脳溝を持つ脳回形成異常を呈し,前頭葉で顕著であった。白質は内包,脳梁に髄鞘化を認めたが前頭葉から頭頂葉,後頭葉まで広範に低信号で髄鞘化を認めなかった。小脳の低形成も認めた。FLAIR画像では脳室周囲白質と皮質下白質が高信号域となりその一部に嚢胞を認めた。
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