連載 症候学メモ余滴・8
「目には目を,歯には歯を」
平山 惠造
1
1千葉大学
pp.776
発行日 1996年8月1日
Published Date 1996/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900992
- 有料閲覧
- 文献概要
「目には目を,歯には歯を」という言葉はしばしば諺(ことわざ)とされているが,実のところはそうではない。法律用語が諺に転用されたものである。
大部以前,クルトユルゲンスが主役を演じたフランス映画の表題に「目には目を(l'oeil pour l'oeil)」というのがあった。一種の復しゅう映画であるが,そういうことよりも演出,演技,カメラのよさが印象に残った。この映画が上映されてから「目には目を」という言葉が我が国で知れわたったのではなかろうか,と思われる。筆者自身もその一人である。しかし,いつの頃であったか,この「目には目を」という言葉は本来は報復の意味で使われたものではない,と聞いた。それでは本当にはどのような内容の言葉なのか,という疑問をずっと持ちつづけていた。最近,夕食後の団らんでこれが話題になった。そのとき家内がそれなら知人の某某氏が詳しいのではないか,ということで早速に連絡をとってくれた。数日後に詳しい説明文を頂いて,その真意をようやく知ることができた。
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.