Japanese
English
総説
外傷性脳損傷とmild hypothermia
Traumatic Brain Injury & Mild Hypothermia
宮澤 隆仁
1
Takahito Miyazawa
1
1防衛医科大学校脳神経外科
1Department of Neurosurgery, School of Medicine, National Defense Medical Callege
キーワード:
traumatic brain injury
,
mild hypothermia
,
brain temperature
,
rewarming
,
coagulopathy
,
hibernation
Keyword:
traumatic brain injury
,
mild hypothermia
,
brain temperature
,
rewarming
,
coagulopathy
,
hibernation
pp.329-335
発行日 1995年4月1日
Published Date 1995/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900770
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はじめに
本邦では,高熱を出した患者に対して,"オデコ"に冷えたタオルをのせる方法がいつの頃からか民間で日常的に行われるようになったが,本法はわれわれの祖先が考え出したもっとも簡便な脳冷却法である。また,溺水事故により40分間冷水に浸かっていた5歳の男児が何ら神経学的異常を残すことなく回復した事実が報告される41)など,hypothermiaが患者の脳を保護するうえで極めて有効であることは古くからよく知られている事実である。
1945年Fay11)が初めてprofound hypothermiaが頭部外傷のoutcomeを改善すると報告して以降,同様の報告が相次いだ14,20,39)。また,頭部外傷患者のみでなく,一般の脳外科手術でもprofound hypother—miaが用いられたが,結果は満足できるものではなかった。Drakeら10)は10例の手術困難な脳動脈瘤症例に10-15℃のprofound hypothermiaのもとで心停止させて手術を施行した結果,良好な無血手術野を得ることができたが,術後出血のためにprofound hypo—thermiaの使用をあきらめざるを得なかった。Uihleinら44)もprofound hypothermiaを用いた67例の脳動脈瘤の症例のうち,体外循環の副作用とrewarming時の出血のために14.5%が死亡したと報告した。
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