Japanese
English
特集 二次性痴呆
外傷性痴呆—Boxer's brainを中心に
Boxer's Brain and Other Types of Post-traumatic Dementia
徳田 隆彦
1,2
Takahiko Tokuda
1,2
1信州大学医学部第三内科
2東京都精神医学総合研究所分子生物
1Department of Medicine (Neurology), Shinshu University School of Medicine
2Department of Molecular Biology, Psychiatric Research Institute of Tokyo
キーワード:
boxer's brain
,
dementia pugilistica
,
Alzheimer's disease
,
boxer's encephalopathy
,
β-protein
Keyword:
boxer's brain
,
dementia pugilistica
,
Alzheimer's disease
,
boxer's encephalopathy
,
β-protein
pp.1109-1118
発行日 1993年12月1日
Published Date 1993/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900566
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I.はじめに
ヒトの知的機能には様々な要素が含まれており,その障害である痴呆という状態を明確に定義し,その程度を正確に定量することは決して容易ではない。しかし一般的には,痴呆とは種々の知的機能の一部あるいは全てに持続的な障害が生じて,正常な社会生活を営むことが不可能になった状態と考えることができる。このように考えれば,痴呆の原因となる疾患は多岐にわたることが推測できる。現在,これらの痴呆性疾患の中で最も重要な変性性痴呆,特にAlzheimer病に関する知見は急速に集積されつつあるが,その発症機序は未だ明確ではない。一方,頭部外傷を契機として痴呆状態が出現することが1930年代より報告されている1)。ボクサー経験者に出現するdementia pugilis—ticaはその代表的な病態であり,これまでに臨床的あるいは病理学的な報告が数多くなされている。外傷性痴呆はその原因が頭部へ繰り返し加えられた機械的刺激であることが明らかであり,痴呆の出現機序を解明するうえで興味深い病態である。本稿では,我々の検討結果および過去の報告を参照し,外傷性痴呆,特にboxer’s brainについてその病態を総括し,また老年痴呆との関連についても言及したい。
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