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特集 脳梗塞急性期の治療
Hemodilution療法
Hemodilution Therapy
山本 正博
1
,
篠原 幸人
1
Masahiro Yamamoto
1
,
Yukito Shinohara
1
1東海大学医学部神経内科
1Department of Neurology, Tokai University School of Medicine
キーワード:
hemodilution
,
hemorheology
,
cerebrovascular disease
,
hematocrit
Keyword:
hemodilution
,
hemorheology
,
cerebrovascular disease
,
hematocrit
pp.787-795
発行日 1992年9月1日
Published Date 1992/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900377
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I.はじめに
最近,閉塞性脳血管障害急性期においてthrom—bolytic agentであるtissue plasminogen activatorの投与により,塞栓の消失とともに臨床症候が改善することが報告されている1)。このことは,急性期閉塞性脳血管障害において早期の脳循環動態改善が臨床症候改善に大きく寄与することを示唆している。瀉血と種々のplasma expanderを使用してのhemodilution療法は,その背景として血液の流動性に重大な寄与をしている血液粘度を低下させ,血流灌流を改善しようとする考えに基づくものである。しかしその急性期の有効性についての臨床的検討では,hemodilution療法,特にisovolemic hemodilution療法は無効であるとする報告が多い。既に,このhemodilution療法の臨床上の検討を行った各グループの結果および臨床データについては我々2)を含め他の総説3〜5)でも述べられている。また慢性期の閉塞性脳血管障害患者の脳血流とhemorheologyについての著者らの結果は既に報告済みである6)。
そこで,本稿では,hemodilution療法の理論的背景を述べるとともに,まだあまり取り上げられていない各臨床検討グループにおける患者のentry条件についてhemodilution療法を有用とする報告,無効とする報告に分けて検討した。
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