Japanese
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特集 脱髄性ニューロパチー
神経伝導障害の新しい検査法
New Methods of Estimation of Nerve Conduction Velocity Distribution
廣瀬 源二郎
1
Genjiro Hirose
1
1金沢医科大学神経内科
1Department of Neurology, Kanazawa Medical School, School of Medicine
キーワード:
nerve conduction velocity distribution
,
collision method
,
compound action potentials
,
spectrum analysis
Keyword:
nerve conduction velocity distribution
,
collision method
,
compound action potentials
,
spectrum analysis
pp.699-708
発行日 1992年8月1日
Published Date 1992/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900367
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はじめに
ヒト神経伝導障害の電気生理学的検査としての始まりは1948年のHodesら1)の運動神経伝導速度の測定である。以来長年の臨床的経験に基づいた電気生理学的な手技,機器の進歩により,運動神経のみならず感覚神経においてもAα,Aβと分類される神経の伝導速度の測定がなされるようになり,今日では種々の末梢神経疾患の診断に不可欠な客観的検査法となってきている。
通常神経伝導速度の測定は,同一神経上の異なる2点でsupramaximalな電気刺激を与え,誘発された複合活動電位のそれぞれの潜時の差で刺激2点間の距離を除して求めている。そのため潜時測定は誘発波形の立ち上がりまでをとるため,得られた伝導速度は最も速い神経線維のそれであり,疾患により障害されずに残った線維のうち最大径をもつ健常な線維の伝導速度となる。しかし実際の神経線維束は種々の直径をもつ神経線維群から構成されており,最大伝導速度のみでは末梢神経疾患の診断は可能であるが,微少な局所病変,病態把握,軽症のニューロパチーの診断には適当でない。
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