特集 神経系疾患と臨床検査
Ⅲ.神経生理
ミニ情報
神経伝導検査と皮膚温
廣瀬 源二郎
1
1金沢医科大学神経内科
pp.1431
発行日 1997年10月30日
Published Date 1997/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903518
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神経伝導速度(以下NCV)測定に関する注意点としては,刺激,導体(被検者)および反応波形の問題がある.この中で一番問題となるのは被検者因子であり,その中でも患者の年齢と皮膚温が測定値に最も関係する.NCVと皮膚温との関係は多くの研究により検討され,両者には直線的正の相関があることが証明されている.Henriksenは筋肉内温度1℃上昇につき2.4m/sec,Buchthalらは21~36℃の範囲では1℃につき2m/sec.の増加を報告しており,われわれの研究でも1℃につき正中神経2.00m/sec,尺骨神経1.98m/secの増加,下肢腓骨神経では1.37m/sec後脛骨神経1.57m/secの増加がみられることを確認している.皮膚温の日内変動では,体温の変動に伴い午後から夕方にかけ上昇し,2~2.5℃の変動がみられる.特に皮膚温は健常者でも四肢末梢でより低く,ニューロパチーではさらに低いため,正確なNCVの測定には温度補正が必要となる.簡便な方法としては室温を年間を通じて26~30℃と一定に保ち,皮膚温が低い(34℃以下)ときには赤外線ランプで暖めてから測定すべきである.
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