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特集 新しい末梢神経伝導速度測定法の試み
二つの複合活動電位の分析による末梢神経伝導速度分布測定
A New Method of Measuring the Distribution of the Nerve Conduction Velocities in the Frequency Domain
廣瀬 源二郎
1
Genjiro Hirose
1
1金沢医科大学神経内科学数室
1Department of Neurology, Kanazawa Medical School, School of Medicine
pp.837-845
発行日 1987年9月1日
Published Date 1987/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205966
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1.はじめに
末梢神経束を刺激してえられる活動電位,複合活動電位compound action potentials (以下CAPと略す)の波形は,Gasserら1)が1927年に報告して以来,神経束を構成する個々の神経線維の活動電位,単一神経線維活動電位single fiber action potentials (以下SFAPと略す)がある一定の潜時を持って伝搬出現する波形を重複合成したものと考えられている。彼らの報告以来,多くの研究者により,CAPと関連する種々の基本的なパラメーターについての検討がされ,伝導速度と神経線維直径との間には比例関係があることがわかっている。また彼らによれば2),食用ガエルの神経有髄線維の直径を顕微鏡下に測定したヒストグラムから合成したCAP波形は,実際に記録したCAP波形と極めて近似していた。
このような概念に基づき,SFAP波形,CAP波形および神経線維の直径分布の関係より,CAP波形の合成,伝導速度分布の推定が古くから検討されてきた。Gasserら1)は,SFAP波形を三角形の波形で近似し,神経線維の直径分布よりCAP波形を合成した。またBuchthalら3)は種々の刺激一導出間距離でえられるCAP波形の変化から,刺激部位すなわち伝導距離0でのCAP波形を推定し,それをSFAP波形とみなして,神経線維の直径分布よりCAP波形や神経束の伝導速度分布を推定した。しかし,いずれの方法でもあらかじめSFAP波形を設定する必要があり,測定条件によりSFAPが変化することが最大の欠点であった。
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