中脳—辺縁・前頭皮質dopamine系

Mesolimbocortical Dopamine System

　dopamine（DA）は，serotoninやnoradrenalineより数年遅れて脳内で同定されたが，serotoninやnoradrenalineが脳全体にびまん的に分布しているのに対して，比較的局在的な分布を示すという特徴がある。DAニューロンには，本稿で紹介する中脳—辺縁・前頭皮質系のほか，中脳—線条体系，間脳—脊髄系，脳室周囲系，不確帯視床下部系，隆起—下垂体系，嗅球糸球体周囲系，網膜系などがある。

　DAとの関連で最も重要な疾患であるパーキンソン病は，中脳‐線条体系を中心としたDA欠乏症候群であると考えられている0精神分裂病はパーキンソン病よりかなり高い発現率を示す疾患であるが，治療薬（抗精神病薬）の作用機序から脳内のDA過剰伝達症候群ということができる。精神機能が侵される点から大脳皮質の関与が推測されているので，中脳—辺縁・前頭皮質DA系が病因の解明にとって重要な標的と考えられている。