Japanese
English
特集 カルシウム拮抗剤と神経系
脳循環とCa拮抗剤
Cerebral Circulation and Calcium Antagonists
植松 大輔
1
,
福内 靖男
1
Daisuke Uematsu
1
,
Yasuo Fukuuchi
1
1慶慮義塾大学医学部神経内科
1Department of Neurology, School of Medicine Keio University
キーワード:
cerebral circulation
,
Ca antagonist
Keyword:
cerebral circulation
,
Ca antagonist
pp.17-31
発行日 1990年1月1日
Published Date 1990/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900002
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はじめに
細胞内のカルシウムイオン濃度(Ca2+)は平常状態では種々のCa2+homeostasis維持機構により細胞外の約一万分の一の低濃度(約50-100nM)に維持されている。細胞膜に存在する種々の膜電位依存性Ca2+チャンネル(voltage-dependent Ca2+channels, VDCCs)や受容体作動性イオンチャンネル(receptor-operated ionchannels, ROCs)がCa2+の細胞内への主な流入路であるが,時に細胞内の貯蔵部位からCa2+が放出され細胞内濃度が変化することもある。細胞内Ca2+濃度の変化は中枢神経において多くの重要な生化学的機構,即ち神経伝達,軸索輸送,細胞の代謝や酵素活性そして血管平滑筋反応などを調節しておりCa2+がsecond messengerと言われる由縁である。Ca2+拮抗剤はVDCCsの一部に作用してCa2+の流入を抑制することによってその作用を発揮する。その血管拡張作用に関しては血管内皮細胞にはVDCCsは証明されておらず血管平滑筋に対する直接作用と考えられる。本稿では主に脳血管拡張作用に基づく脳循環に対する影響について述べるが,最近注目されているCa2+拮抗剤の脳虚血時における脳細胞保護作用についても解説する。
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