書評
—監修 今中孝信(天理よろづ相談所病院総合診療教育部) 編集 塚本玲三(茅ヶ崎徳洲会総合病院・内科) 亀井徹正(茅ヶ崎徳洲会総合病院・内科) 小泉俊三(天理よろづ相談所病院・外科) 箕輪良行((社)地域医療振興会) 柳川幸重(帝京大学医学部・小児科)—レジデント初期研修マニュアル
鍵本 伸二
pp.574
発行日 1989年6月1日
Published Date 1989/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206331
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- 文献概要
筆者は2年目の研修医であるが,自分が受けてきた研修を振り返って,初期研修にも種々の段階があったことを思い出す。まず最初は,患者とのfirst contactで大きなミスをしないことを目標に病歴と理学的所見の取り方を学び,続いて更に知識を深めつつ種々のベッドサイドの手技を身に付けるように努力してきた。その過程でマニュアルの類にも何度か御世話になった。筆者なりにマニュアルに求めるものを挙げるとすれば,①コンパクトであること,②簡潔明快であること,③書き込みをする余白が若干あること,④それ一冊で済むこと,などである。最初の3つは比較的容易に得られようが,最後の"それ一冊で済むこと"はかなり困難なようで,様々なレベルや,目的に合わせたマニュァルが氾濫する現状である。
本書は,理学的所見の取り方に始まり,種々の手技を中心に,検査オーダー,decision makingのポイントなどかなりの範囲を網羅しており,今までになかったタイプのマニュアルである。その意味で,"それ一冊で済む"をかなり意図しているように見受けられる。研修の各段階を通じて持っていて便利であることは間違いない。監修の今中孝信先生の「総合的な診療能力の修得を目指す研修医が,研修を始めるに当たって必要なことがらを技術を中心にまとめた手引書」というねらいは実現されていると思う。
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