Japanese
English
特集 Positron emission tomography, Magnetic resonance imagingの診断的意義について
治療法適応などのたあのpositron emission tomographyによる鑑別診断:脳血管障害と脳腫瘍について
Evaluation of Therapeutic Indications using Positron Emission Tomography (PET):For Cerebro vascular Disease and Brain Tumor
日向野 修一
1
,
上村 和夫
1
,
宍戸 文男
1
Shuichi Higano
1
,
Kazuo Uemura
1
,
Fumio Shishido
1
1秋田県立脳血管研究センター放射線医学研究部
1Department of Radiology and Nuclear Medicine, Research Institute for Brain and Blood Vessels-Akita
pp.439-449
発行日 1988年5月1日
Published Date 1988/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206102
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はじめに
脳の画像診断技術は,X線CT (以下CT)の発明以来,飛躍的な進歩を遂げ,核磁気共鳴映像法(以下MRI)の出現に至って,ほとんど非侵襲的に,その肉眼的局所解剖を微細な部分にいたるまで正確に観察できるようになってきている。しかし,これらの診断法は,本質的には,形態的変化を捉えるものであり,病巣による脳組織の機能障害に基づく病態の把握には,きわめて非力と言える。これに対し,ポジトロンCT (以下PET)は,臓器組織の生理的あるいは,生化学的情報に基づく診断法である。即ち,PETは短半減期のポジトロン放射radioisotopeで標識されたトレーサーを生体内に投与し,その組織内濃度を定量し,画像化する方法で,標識したトレーサーの生体内動態を示す数学的モデルを設定することにより,臓器組織局所の生理的,生化学的諸量を定量するものである。現在,PETを用いた脳の機能診断では,脳循環や,酸素,ブドウ糖,アミノ酸などの代謝のほか,神経伝達物質受容体の測定も可能になっている。
本稿では,我々のグループが主なテーマとしてきた脳血管障害と脳腫瘍の循環代謝の検討の中から,手術適応の決定など治療上,形態学的診断法のみでは比較的判断の困難な疾患を中心に,PETを用いた機能診断の有用性について述べる。
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