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編集後記
高倉 公朋
pp.405
発行日 1988年4月1日
Published Date 1988/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206097
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- 文献概要
本号には,脳梗塞における日本人の特異性について斎藤勇先生の総説が掲載されている。脳卒中の型について,脳梗塞が高血圧性脳出血を上まわって増加し,他方脳出血が減少する傾向が,わが国で認められるようになって久しい。1960年代前半では脳出血対脳梗塞の比率は1.4:1.0,約20年前の1960年代後半で1.0:1.0となり,その後は脳梗塞が一方的に増加している。脳卒中の病型が欧米化していることはよく知られている事実であり,その要因は食生活の欧米化にあると言われている。確かに肉の摂取量は,20年前と比較して増加しているとは思うが,わが身をかえりみて,20年前の食事と現在の食事と比較して,特に魚が減り,肉が増えたという実感は無い。デパートの食品売場を回ってみれば特級牛肉は100gmが3,000円もする。欧米なら1kgでも,この値段よりは安い。最高の牛肉は100gmが15,000円というニュースもある。どだい,このような食品を買う人があるのが異常である。しもふりの肉が最高に美味と人は言うが,小生のふところ具合では,このような高価な肉を脳梗塞が起こる程食べられるような心配は無用である。
患者さんから,脳梗塞を予防するにはどうしたらよいか,とよく尋ねられる。「脂肪の多い肉をなるべく少く,青身の安い魚をなるべく食べるようにして,塩分を減らし……」などとくり返しているが,小生の食生活は大体このようなものか。
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