Japanese
English
総説
神経系奇形
Malformations of the Central Nervous System
森 惟明
1
,
栗坂 昌宏
1
Koreaki Mori
1
,
Masahiro Kurisaka
1
1高知医科大学脳神経外科
1Department of Neurosurgery, School of Medicine, Kochi Medical School
pp.615-624
発行日 1986年7月1日
Published Date 1986/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205733
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奇形とは,外表的・肉眼的に普通一般の形態とは異なった形態を示すことであり,「mal—異常な(ラテン語のmale:悪く)+formation形成(ラテン語のforma:外見)」の合成語malformationとして表現される。
先天異常のうち,中枢神経系の全奇形の占める割合は約10%とみなされている。したがって本邦の出生10,000人に対する中枢神経系奇形の出現は,乳児で18〜19人,新生児で9.5〜10人となる38)。一方,奇形の発現には,染色体異常を含む遺伝的なものと,出生時の外部環境に由来するものとがある。しかしその原因の如何にかかわらず,胎芽(embryo)の発育過程の一時期に発生した傷害作用は,その作用時期に一致した特有の形態異常を呈するものである25,40)。このため,その形態から異常の発生した時期を推定することが可能であり,ZamoranoとChuaquiはTable 1のごときschemaを報告している81)。このような先天異常の発生頻度は,人種や地域によって差のあることが知られており,世界的にみて日本における奇形の発生率は諸外国よりも低いことがNeel51)およびKurtzkeら29)によって報告されている。一般的に,中枢神経系の奇形は女児に多いとされているが,特に無脳症とspina bifidaは女児に多い。
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