連載 症候学メモ・17
病歴が送るサイン—一過性脳虚血か狭心症か
平山 惠造
1
1千葉大学神経内科
pp.456
発行日 1986年5月1日
Published Date 1986/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205705
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◆神経学の領域に限ることではないが,病歴は非常に貴重な情報を提供してくれる。今の健康保険診療では,時間をかけて病歴をとっても収入に結びつかないどころか,逆効果すらあるので,段々に病歴を詳細にとることがおろそかになっているが,医学の本道からすれば由々しいことである。病歴を詳しくとらなかったばかりに,無用な検査を重ね,患者も医師も労力をついやし,検査が健康保険料を喰っているとすれば,これほど無益なことはない。最近の検査万能は,一時期前の薬漬けのように,いずれ大きな批判の対象になるのではなかろうか。
◆それはともかく,神経学の領域では,病歴聴取とハンマーが本当にこなせるようになれば,一流であると,私は思っている。それほど病歴をとることも,ハンマーを使うことも難しい。そこで病歴であるが,一例を挙げてみよう。
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