連載 症候学メモ・12
間欠性跛行と歩行負荷試験
平山 惠造
1
1千葉大学神経内科
pp.1202
発行日 1985年12月1日
Published Date 1985/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205630
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◆間欠性跛行には3種類ある。末梢性間欠性跛行と脊髄性聞欠性跛行と馬尾性間欠性跛行とである。それぞれの特質を要約すると,末梢性間欠性跛行は下肢の動脈血流が潜在性に不全状態にあり,歩行によって生ずる相対的な下肢筋の虚血のために,疼痛性の跛行を来たすものであり,脊髄性間欠性跛行は下部脊髄に潜在性に血流不全があり,歩行によって生ずる腰膨大の相対的な虚血のために,脱力性の跛行を来たすものである。馬尾性間欠性跛行は腰部脊椎管腔を狭窄せしめる機転が潜在し,直立姿勢を保つとそれが増強し,馬尾がしめつけられて生ずる下肢の間欠性の感覚異常を来たすものである。
◆これらの間欠性跛行は病歴の中でとらえられるが,それを客観的に診ることの必要が生ずる。その跛行を起こしているときの他の神経学的所見を確認するためもある。しかし,現実には,その跛行を引き出すことは必ずしも易しいとはいえない。特に前2者は歩行かてもらわなくてはならないが,10分,15分と歩いてはじめて跛行する場合が少なくないので,しばしば病院内の廊下を往復するテストで歩行負荷をするが,これは望ましい条件とはいえない。
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