Japanese
English
総説
痴呆の病態生理
Pathophysiology of Dementia
中村 重信
1
,
亀山 正邦
1
Shigenobu Nakamura
1
,
Masakuni Kameyana
1
1京都大学医学部神経内科
1Department of Neurology, Faculty of Medicine, Kyoto University
pp.931-943
発行日 1985年10月1日
Published Date 1985/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205585
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.痴呆の概念
痴呆は頻繁に使われる言葉であるが,明解な定義はまだなされていない。というのは,痴呆の概念については議論が多く,複雑な問題が含まれている。もちろん,一般に承認されるような定義を作る努力は種々の立場からなされてきたが,十分なものとはいえない。しかし,漠然とした精神障害を痴呆として一括したり,痴呆患者に関する詳細な症状の分析を軽視することは許されない。痴呆の原因を究明して,治療や予防の方向を探索するためにも,対象となる痴呆の概念を明確にすることが必須の条件となる。
痴呆は疾患ではなく,症状である。通常,記憶障害を中心に,いくつかの面での知能の障害された状態を痴呆と呼ぶ。その場合,後天的な外因により破壊されて生じた脳内の器質的損傷あるいは疾病が存在することが必要とされる。さらに,痴呆の概念に関して,次に挙げる点が問題にされている。
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.